プログラム

挨拶

スポーツは、さまざまな力を持っています。日本国内を含む、世界中のあらゆる場所で、様々な人々がスポーツによって喜び・悲しみを味わい、成長していますし、娯楽としても大きな役割を担っています。

一方で、世界に目を向けると多くの問題が存在しています。国連をはじめとする国際機関や多くの国が絶え間ない努力を続けてきたおかげで、国連が目標としてかかげていたミレニアム開発目標が、ある程度の成果をあげました。たとえば、極度の貧困状態に置かれている人々の人口も飢餓人口も、1990年初頭に比べると2014-16年に半減しました。しかし、ミレニアム開発目標が設定された時にはあまり意識されていなかった地球規模課題も見られるようになりました。一つは、人口の増加や文明の発達によって、地球が有限であることを意識せざるを得なくなったこと、もう一つは、民族・宗教の対立によるテロリズムの拡大です。今や、米国やヨーロッパでも一般市民が標的となっています。そのため、ミレニアム開発目標の後継として設定された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals=SDGs)においては、平和な社会をめざすこと、喫緊の地球規模課題として地球温暖化対策を行うことなども目標に掲げています。

このような世界においても、スポーツは大きな力を発揮するポテンシャルを持っています。国連によるトップダウンの政策も重要ですが、草の根レベルで様々な国の人々とスポーツを通じてふれあうことで、仲間という意識を持ちながら、お互いの文化などに対する理解も深まります。SDGs達成に、もっとも重要なことは、このような、相手との相違を認識し、尊重することです。テロリズムの根本的な解決は、一朝一夕に達成できるものではありませんが、偏狭な自国第一主義による排除の論理ではなく、SDGsにそった活動を広げていくことによってのみ解決に向かうことが期待されます。

もちろん、スポーツの果たす役割はそれにとどまりません。一例をあげると、途上国においても、飢餓のみでなく、発展の過程で生活習慣病が起こってきます。そのような健康増進にも、スポーツは役立ちます。スポーツに関する広範な知識を持ち、地球規模の問題に立ち向かう人材が求められているのです。

このような観点から、本学位プログラムは、以下のような人材の養成を目的として開設されました。

 

  • スポーツを通じて国内外の社会開発を担う人材
  • 国際平和と友好、青少年教育を促進するオリンピック運動及びその歴史的展開に関する専門的知識を持ち、IOCほか国際機関で活躍できる人材
  • 我が国の体育教育の制度と実践を理解し、諸外国に支援ができる人材

 

その目的達成のため、鹿屋体育大学、そして日本スポーツ振興センター(JSC)と連携し、かつ国内外の様々な官民セクターとも協働して、スポーツを通して社会に貢献できる能力をもった人間を輩出できる体制を整えました。

修了後の進路としては、国連など国際機関、各国の政府機関、国際NGOのほか、グローバルな課題に関する知識と多文化に関する理解を兼ね備えた人材として、国際的な場で活動が行われている民間機関・企業、そして国内外のスポーツ組織・機関などにも採用される可能性は高いと考えています。

 

このような取り組みに興味があるのなら、是非、当専攻に進学していただきたいと思います。あなたの創造性によって、スポーツはより素晴らしいものになり、世界はより豊かに、健康に、平和に変わっていくことが期待できます。スポーツを通じた世界貢献をともに進めていきましょう。

スポーツ国際開発学共同専攻 専攻長

筑波大学 本田 靖

 

今日、教育、体力・健康づくり、産業、イベント、観光、環境、政策、国際政治など、スポーツへの関心や効用への期待は多様であり、それに伴って、スポーツの科学的研究のアプローチも多様化してきています。そのようななか、スポーツの新たな価値を探究する学問領域として注目されるのが、本共同専攻が専門とする「スポーツ国際開発学」です。

スポーツによる開発(地域開発、国際開発)の効用や重要性は、すでに認識されてきています。その一方で、スポーツを専門とする立場からの開発への関わり方や開発・援助における課題などについても考察する必要があります。また、その基盤として、さまざまな国々・地域の身体運動文化に対する理解も深められなければなりません。今後さらに、スポーツと開発の関係、スポーツによる開発のあり方について、さまざまな角度からの研究成果が蓄積され、議論が構築されていくことが期待されます。

筑波大学と鹿屋体育大学は、日本スポーツ振興センターとの協同によって、スポーツ国際開発学共同専攻を設置しました。本専攻では、スポーツと開発に関する専門的知識と実践力、スポーツによる開発における効用や課題を科学的に分析・検証できる研究能力と課題解決能力を身につけ、国際的に活躍できる人材の育成をめざしています。また、そのような教育・研究活動を通して、スポーツ科学分野の教育と研究の充実・発展に貢献できるものと確信しています。そして、そのような本専攻に学ぶ在学生や修了生のみなさん、スタッフとともに、「スポーツ国際開発学」という、スポーツ科学の新たな可能性を追究していきたいと考えています。

 スポーツ国際開発学共同専攻 専攻長

鹿屋体育大学 山田理恵


 国立大学法人・筑波大学及び国立大学法人・鹿屋体育大学との連携のもと、独立行政法人日本スポーツ振興センターは、スポーツを通じた国際交流・貢献を推進する人材育成を担う「スポーツ国際開発共同専攻」をスタートしました。

2011年に施行されたスポーツ基本法第二条には、スポーツに係る国際的な交流及び貢献を推進することが基本理念の一つとして謳われ、また第十九条においてはこれに係る必要な施策を講ずることが規定されています。さらに、その翌年策定されたスポーツ基本計画においても、スポーツ分野における人的・物的な国際交流及び貢献を推進することが明示されています。こうした中、国立の体育・スポーツ系大学である筑波大学と鹿屋体育大学が我が国のスポーツ政策実現に果たす役割は大きく、両大学と当センターとの連携により開設した本共同学位プログラムには大きな期待が寄せられています。

また、今日、多様化・複雑化する国際社会の諸問題に対して、スポーツが果たす貢献は大きく、国連とスポーツ界はスポーツを通じて平和構築や途上国の発展支援を積極的に推進しています。こうした取組をさらに推進するために、国際社会が求める様々な課題を多角的かつ科学的にとらえ、国際社会に貢献できる実践力や研究能力を有する人材が求められています。本共同学位プログラムは、このような国際社会の期待に応える人材育成を行うものであり、国際社会の中で我が国がその役割を果たす上でも重要な取組として位置付けられます。

当センターは、我が国唯一のスポーツに関する独立行政法人として、スポーツ立国の実現を目指し、国連平和と開発のためのスポーツ局への職員派遣を行うなど、スポーツにおける国際連携や資源開発に取り組んでいます。本共同学位プログラムにおいては、これらの機会が効果的に活用されることを期待しています。

日本スポーツ振興センター理事長  大東 和美

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