プログラム

挨拶

地球規模課題を解決するグローバルな視点が必要とされる中、スポーツという文化の果たす役割に国連や国際オリンピック委員会(IOC)が注目してきた。また、官民の様々な機関が、移民、貧困、ジェンダー、障がいなどに対する差別や偏見、さらに紛争による人々、特に子どもたちの恐怖心の問題に対して、「開発と平和のためのスポーツ(Sport for Development and Peace; SDP)」の思想と実践が遂行されてきた。それはまた、スポーツを通じた公共的な貢献の問題でもある。
国連のミレニアム開発目標には、以下が挙げられている。

  1. 極度の貧困と飢餓の撲滅
  2. 普遍的初等教育の達成
  3. ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
  4. 幼児死亡率の削減
  5. 妊産婦の健康の改善
  6. HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の蔓延防止
  7. 環境の持続可能性の確保
  8. 開発のためのグローバル・パートナーシップの推進

これらの開発目標に対して、イギリス、ノルウェー、そしてカナダなどをはじめとする国々が様々なアプローチを展開し、各地域において人々の生活のありように貢献してきている。2008年には、「国連平和と開発のためのスポーツ局(United Nations Office on Sport for Development and Peace: UNOSDP)」が公式に設置され、パン・ギムン国連事務総長の特別顧問として、ウィルフリード・レムケ氏が任命され、積極的な活動を行って来ている。
本学位プログラムは、以下のような人材の養成を目的としている。

  1. スポーツを通じて国内外の開発を担う人材
  2. 国際平和と友好、青少年教育を促進するオリンピック運動及びその歴史的展開に関する専門的知識を持ち、IOCほか国際機関で活躍できる人材
  3. 我が国の体育教育の制度と実践を理解し、諸外国に支援ができる人材

したがって、修了者の進路も、国連など国際機関、各国の政府機関ほか民間機関・企業、そして国内外のスポーツ組織・機関など、幅広い領域が想定される。
鹿屋体育大学、そして日本スポーツ振興センター(JSC)と連携し、かつ国内外の様々な官民セクターと協働して、スポーツを通して社会に貢献できる能力をもった人間を輩出していきたい。

スポーツ国際開発学共同専攻 初代専攻長

筑波大学 清水 諭

 

今日、教育、体力・健康づくり、産業、イベント、観光、環境、政策、国際政治など、スポーツへの関心や効用への期待は多様であり、それに伴って、スポーツの科学的研究のアプローチも多様化してきています。そのようななか、スポーツの新たな価値を探究する学問領域として注目されるのが、本共同専攻が専門とする「スポーツ国際開発学」です。

スポーツによる開発(地域開発、国際開発)の効用や重要性は、すでに認識されてきています。その一方で、スポーツを専門とする立場からの開発への関わり方や開発・援助における課題などについても考察する必要があります。また、その基盤として、さまざまな国々・地域の身体運動文化に対する理解も深められなければなりません。今後さらに、スポーツと開発の関係、スポーツによる開発のあり方について、さまざまな角度からの研究成果が蓄積され、議論が構築されていくことが期待されます。

筑波大学と鹿屋体育大学は、日本スポーツ振興センターとの協同によって、スポーツ国際開発学共同専攻を設置しました。本専攻では、スポーツと開発に関する専門的知識と実践力、スポーツによる開発における効用や課題を科学的に分析・検証できる研究能力と課題解決能力を身につけ、国際的に活躍できる人材の育成をめざしています。また、そのような教育・研究活動を通して、スポーツ科学分野の教育と研究の充実・発展に貢献できるものと確信しています。そして、そのような本専攻に学ぶ在学生や修了生のみなさん、スタッフとともに、「スポーツ国際開発学」という、スポーツ科学の新たな可能性を追究していきたいと考えています。

 スポーツ国際開発学共同専攻 専攻長

鹿屋体育大学 山田理恵


 国立大学法人・筑波大学及び国立大学法人・鹿屋体育大学との連携のもと、独立行政法人日本スポーツ振興センターは、スポーツを通じた国際交流・貢献を推進する人材育成を担う「スポーツ国際開発共同専攻」をスタートしました。

2011年に施行されたスポーツ基本法第二条には、スポーツに係る国際的な交流及び貢献を推進することが基本理念の一つとして謳われ、また第十九条においてはこれに係る必要な施策を講ずることが規定されています。さらに、その翌年策定されたスポーツ基本計画においても、スポーツ分野における人的・物的な国際交流及び貢献を推進することが明示されています。こうした中、国立の体育・スポーツ系大学である筑波大学と鹿屋体育大学が我が国のスポーツ政策実現に果たす役割は大きく、両大学と当センターとの連携により開設した本共同学位プログラムには大きな期待が寄せられています。

また、今日、多様化・複雑化する国際社会の諸問題に対して、スポーツが果たす貢献は大きく、国連とスポーツ界はスポーツを通じて平和構築や途上国の発展支援を積極的に推進しています。こうした取組をさらに推進するために、国際社会が求める様々な課題を多角的かつ科学的にとらえ、国際社会に貢献できる実践力や研究能力を有する人材が求められています。本共同学位プログラムは、このような国際社会の期待に応える人材育成を行うものであり、国際社会の中で我が国がその役割を果たす上でも重要な取組として位置付けられます。

当センターは、我が国唯一のスポーツに関する独立行政法人として、スポーツ立国の実現を目指し、国連平和と開発のためのスポーツ局への職員派遣を行うなど、スポーツにおける国際連携や資源開発に取り組んでいます。本共同学位プログラムにおいては、これらの機会が効果的に活用されることを期待しています。

日本スポーツ振興センター理事長  大東 和美

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